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私は緑に囲まれた自然の中、織物職人の家に生まれた。
「キー トントン バートットン」という縦糸を交差させ、縦糸の間に横糸をすべらせる織機(しょっき)の機音(はたおと)は森に吸い込まれ、森の草木は織物に色をつける。織機の音は子守唄でもあり、空気のようなものでもあった。
作品を創る前、紡がれた糸がひとつひとつ丁寧に織り上げられていくように、空間の使い方、文字の配置、どのような気持ちを表現したいのかを丁寧に構想していく。ここに多くの時間を使い作品のイメージを創りあげていくと、織物が織りあがるかのように作品は完成に近づいていく。
ときに私の作品は「走っている」「打楽器のよう」と表現されることがある。それは機音のリズムが私の中にあり、書の作品にリズムを感じさせるのかもしれない。
自分ひとりの力は、細い一本の糸のようなものである。しかし、縦糸に横糸が交差し糸を織っていくことで織物が仕上がるように、私の作品もお客様に届いたとき、織り上げられた書となり、本当の意味での作品の完成といえるのかもしれない。 |