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竹は温暖で、湿潤な環境で育つ植物で、原産地は赤道を中心とする東南アジア。特にタイ、マレーシア、インドネシア、中国が代表的な産地である。その種類は世界的には約600種、日本国内では約150種ある。日本において竹林の造成が本格的になったのは室町時代で、真竹(マタケ)や淡竹(ハチク)が主で、食用の筍用竹は中国江南地方から渡った孟宗竹(モウソウチク)である。18世紀に薩摩藩主島津吉貴公が琉球から苗を庭園に移植したのが始まりとされる。竹は昔は加工のし易さから身近な生活用具として使ってきたが、日本人の精神文化と融合し次第に宗教行事、茶道、華道文化にも大きな影響を及ぼすようになった。竹は幼竹の成長の早さ、年中青々とした清涼感、弾力のある姿、特異な空洞構造から神秘的な、縁起物としても好まれたようである。ただ、工芸に使える竹はそう多くはない。真竹、黒竹(クロチク)、淡竹、虎斑竹(トラフタケ)、根曲竹(ネマガリタケ)、孟宗竹などに限られる。 代表的な竹花籠の作品の製作工程を例に取ると、まづ3−4年物の竹を伐採後、油抜き、表面が黄色化するまでの天日乾燥、切断、荒割り、剥ぎ、ひご加工、面取りとなる。これで竹ひごができあがる。これが竹細工を編むために必要な原材料である。これから籠を編む作業に移行する。底編み、腰立ち編み、胴編み、首編み、総仕上げ、染色、艶出し、漆塗りと続く。根気と伝統ある技が要求される。竹工芸の生産地は全国に散らばっている。 著名なところとして越前では竹人形を筆頭に飾り物に特色があり、九州、特に別府では生活密着型の工芸品に秀でている。あらゆる生活用品が揃っているのではと思うほどに多彩な作品群である。ともに地域伝統工芸としての師弟教育にも熱心である。昨今はまた、本来の竹の素朴な素材を生かしたきわめて精巧な竹工芸品が一部の愛好家によって創作されている。 竹独特の構造、筋、肌色、つや、枝葉を巧みに組み合わせ、トンボやバッタなどの昆虫を芸術品として見事に仕上げている。まさに「日本人だからこそ成せる伝統技」とも言えそうである。今後に期待したい。
鈴木 三郎(スズキ サブロウ)
東京在住。現在、大学勤務。
エレクトロニクスエンジニアとして30年。製品開発からマーケティング、営業まで経験。
二度の海外駐在で、日本の文化、慣習を外から見るようになる。
機会あらば、狭い日本からの脱出を狙っている。特にアジアが面白い。